1on1で上司が話しすぎていないか|考えさせる場が指示の場に変わるとき

向かい合った2脚の椅子と、ほとんど何も書かれていないメモ帳が置かれた机。文字『何か困っていることは?/沈黙を、埋めにいかない。/8割話していないか、メモで確かめる』


1on1で「何か困っていることはありますか」と聞く。でも、言葉はあまり出てこない。

そこで、もう少し具体的に聞いてみる。それでも、返ってくる言葉が続かない。

沈黙が気まずくなって、こちらから話し始める。

この記事では、その状態を自分で見つける方法と、沈黙を埋めずに済ませるための備え方を書きます。上司の話す量は、面談の技術ではなく、事前の準備で決まります。

目次

1on1で上司が話しすぎているかは、メモを見れば分かる

自分がどれくらい話しているかは、話している最中には分かりません。

確かめる方法があります。メモに、相手の発言が残っているかを見ることです。

1on1の最中にメモを取っていれば、面談の途中でも確認できます。時間が経っているのに、相手の言葉として書いたものがほとんどない。そのときは、こちらが話している時間のほうが長くなっています。

録音して測るような話ではありません。手元の紙を見るだけで足ります。

1on1で、気づけば私ばかりが話していました

あるリーダーとの1on1でのことです。

月次会議で、担当しているKPIの見直しを指示していました。その次の1on1でした。

「何か困っていることはありますか」と聞いても、あまり出てきません。そこで、具体的に聞くことにしました。

「KPIの見直しは順調ですか」

ところが、どのように見直すつもりなのかまでは聞き出せませんでした。

私は、具体例を挙げるつもりで話し始めました。そのまま、話が長くなっていきました。

1on1は、メモを取りながら進めています。

時間は経っていて、会話もしている。それなのに、メモにはリーダーの発言がほとんど書けていませんでした。

そこで、自分ばかりが話していると気づきました。

振り返ると、8割以上は私が話していたと思います。

そして、残りの2割も、リーダーが自分の考えを話せる時間にはなっていませんでした。

1on1の話しすぎに気づく式。経過した時間から、メモに残った相手の言葉を引くと、自分が話していた時間が残ることを示す

「特にありません」と言われたときに、聞き方を変えて話を引き出すところまでは、こちらで書いています。今回はその先で起きたことです。

▷【関連記事:1on1で「特にありません」と言われたとき、上司が最初に見直したいこと】

考えさせる場のつもりが、個別の指示の場になっていた

なぜ話し始めてしまったのか。

個室で二人きりになり、どちらも話さないまま時間が過ぎていく。その時間が、私には居心地が悪かったのです。

何か話さなければと思い、自分が正しいと思う方向へ、こちらから話を誘導しようとしていました。

話が出てくるまで待つことも、話しやすいように言葉を引き出すことも、できていませんでした。

その結果どうなったか。部下に考えさせるつもりで作った場が、個別の指示の場に変わっていました。

考えさせる場が指示の場に変わるまでの4段階。困っていることを聞く、具体的に聞き直す、沈黙に耐えられず話し出す、指示の場になる

会議で指示を出し、1on1でも指示を出す。それでは、場所が変わっただけです。考える機会は、どこにも残りません。

1on1を増やしても、上司が話している限り、社員が考える時間は増えません。

沈黙は、その場の気合いでは待てない

では、黙って待てばよいのか。

私には、ただ黙って待つことができませんでした。沈黙が気まずいと感じる場面で、気持ちだけで待つのは難しいと思います。

そこで私がやったのは、待つことを紙に書いておくことでした。

1on1の進行台本に、こういう趣旨の一文を入れています。

「質問をしたあと、沈黙があってもすぐに話さない」

沈黙になったときは、その一文を見ます。そして、心の中で復唱します。

やっていることは、これだけです。ただ、その場で判断しなくて済むようにしておくことが効きました。気まずさに耐える力ではなく、手元にある紙の問題にしたということです。

聞き方も、事前に用意しておく

待つのと同時に、聞き方も変えました。

質問の範囲を絞ります。「困っていることはありますか」ではなく、抱えている案件を一つずつ挙げて、その案件について聞く。

答えの形を限定して聞きます。「どう思いますか」ではなく、「進めにくい理由は何だと思いますか」と聞く。

どちらも、その場で思いつくものではありません。面談の前に書き出しておくものです。

その場で判断する場合と、事前に紙に書いておく場合の比較図。沈黙・質問の範囲・答えの形の3点で、台本の一文や絞った質問を用意しておくことを示す

それで、うまくいったのか

以前よりは、話を聞き出せるようになりました。

ただし、まだ十分ではありません。

自分で考えさせきれていないと感じる回があります。いまも私が話しすぎているのだと思います。

うまくいっていないことを書いているのは、ここが一度で直る類のものではないからです。聞き方を変えれば翌月から変わる、というものではありませんでした。

それでも、自分が話しすぎていると気づける状態になったことが、以前との違いです。気づかないまま続けていた頃は、1on1をやっている事実だけが積み上がっていました。

まとめ|面談の技術ではなく、手元の準備の問題

1on1で上司が話しすぎるのは、聞く技術が足りないからではありません。聞き出せなかったときに、どうするかを決めていないからです。

確かめ方と、備え方をまとめます。

メモに相手の発言が残っているかを見る

↓

沈黙で話し始めないための一文を、台本に書いておく

↓

聞く案件を絞る。答えの形を限定して聞く

次の1on1のあと、手元のメモを見返してみてください。そこに相手の言葉がどれだけ残っているかが、その日の話す割合です。

1on1は、会議との役割分担から定着まで、4つの段階で見直せます。全体像はこちらで整理しています。

▷【関連記事:1on1を導入したのに機能しないとき、どこから見直すか|4つの段階】

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