月次会議のアジェンダに、こう並んでいないでしょうか。
売上の報告
生産状況の報告
安全の報告
どれも必要な項目です。ただ、この並びのままだと、会議は報告で終わりやすくなります。
参加者の意識が低いからではありません。アジェンダに「何を話すか」しか書かれていないからです。この記事では、そこに何を書き足せば会議が「決める場」に変わるのかを整理します。
アジェンダとは、その会議で何を決めるかを事前に共有する紙
アジェンダとは、その会議で何を決めるかを、参加者が事前に共有するための紙です。
ところが、私の会社のアジェンダは、長いあいだ議題の一覧になっていました。「何を話すか」は書かれているのに、「何を決めるか」がどこにも書かれていない状態です。
この違いは小さく見えて、会議の性格を決めてしまいます。
「何を話すか」しか書かれていなければ、報告する側は、報告を終えた時点で自分の役割が終わります。次に何をするかまで考えてくる理由がありません。
聞く側も同じです。決めるべきことが示されていないので、気になったところを質問していくしかありません。
「決めること」がないと、社長が質問し続ける会議になる
私の会社では、ここで起きていたのが「社長が質問し続ける」という状態でした。
報告は上がってくる。数字も並んでいる。けれども、そこから先が出てこない。私が「なぜこうなったのか」「次はどうするのか」と聞いて、はじめて話が進みます。
当時は、考える習慣が足りないのだと思っていました。いま振り返ると、考えてくる理由をこちらが渡していなかったのだと思います。

アジェンダに「この会議で決めること」が書かれていれば、報告する側は、決めるために必要な材料を持ってこようとします。書かれていなければ、報告の準備で止まります。
会議で「なぜ」を繰り返してしまう構造は、こちらで詳しく整理しています。
▷【関連記事:月次会議で社長が「なぜ」を繰り返してしまう原因と、最初の見直し方】
私の会社では、決まったことが私の記憶と手帳にしか残っていなかった
私が経営を任されたとき、そこにはファシリテーションを使う習慣がありませんでした。そのまま渡せる資料も社内にありません。
会議に進行役はいました。ただ、アジェンダの配布も、議事録の配布も行われていませんでした。
会議で何が決まったかは、私の記憶と手帳の中にしか残っていませんでした。
そうなると、翌月の会議で前回の続きから始めることができません。私が覚えている範囲で「あれはどうなりましたか」と聞く。聞かれた側が思い出して答える。そこからまた話し始める。
毎月、同じような指摘を繰り返すことになりました。報告する側も、私も、その場にいた他のメンバーも、誰も気持ちのいい思いはしていなかったと思います。
そもそも月次会議そのものが、何かを決める場になっていませんでした。予算に対する実績が、淡々と報告される場でした。
これは長年の習慣だと考えています。「会議とは実績を報告する場だ」という捉え方が、組織の中に染み込んでいました。
指摘を繰り返しても、捉え方は変わらなかった
この捉え方は、指摘したくらいでは変わりませんでした。「報告だけで終わらせないように」と何度伝えても、次の月には元に戻ります。
理由は、伝えている場所にあったと考えています。
会議の中で指摘されると、受け取る側は、自分の報告への評価として聞きます。次から気をつけようとはなっても、会議そのものの設計を見直す話にはなりません。
会議とは何をする場なのかという話は、報告の場面から離れたところで扱う必要があります。私の会社では、社内の集合研修のような、まとまった場が要りました。
アジェンダに書き足すのは、議題ごとの「決めること」1行
では、何から変えるか。
まず足すとよいのは、議題ごとの「この会議で決めること」1行です。
たとえば「売上の報告」であれば、その下にこう書きます。
売上の報告
→ 決めること:未達の要因に対して、来月どの行動を増やすか

これだけで、報告の準備が変わります。数字を並べて終わりにはできません。来月の行動を持ってくる必要が出てきます。
「決めること」が書けない議題は、報告でよいのか見直す
1行足そうとすると、書けない議題が出てきます。
そこが見直しどころです。決めることが無い議題は、本当に会議の時間を使って集まる必要があるのかを考えます。
全員で共有すればよいだけなら、資料の事前配布で足ります。会議の時間は、決める必要があるものに使います。
「アジェンダを直す時間がない」と感じるとき
1行足すだけなら、会議の前の数分でできます。
負担が大きく感じるのは、アジェンダを一から作り直そうとするときです。いまの並びはそのままで、各議題の下に1行足すところから始めれば足ります。
会議の前に「何を聞かれるか」が分かる状態にする
私の会社では、そのあと時間をかけて、テキスト、スライド、報告フォーム、生成AIを使ったツールを少しずつ整えていきました。
一度に全部を変えたわけではありません。使える形を一つずつ作っていきました。
その結果として起きた変化が、会議の前に「何を聞かれるか」が分かるようになったことです。
聞かれることが分かっていれば、報告する側は準備できます。報告と質疑応答は、以前よりはっきりスムーズになりました。
報告の質そのものは、まだ発展途上の部分もあります。それでも、私の記憶と手帳にしか残らなかった頃と比べれば、大きな進歩だと感じています。
もう一つ効いたのは、社員の側に率先して実践してくれる人がいたことです。仕組みを作るだけでなく、それを最初に使ってみせる人がいたことが、定着を後押ししました。
決めることを書いたら、次は「どう話すか」
アジェンダに「決めること」が入ると、会議は決める場に近づきます。
ただし、決める場になったぶん、意見が割れる場面も出てきます。そこで黙ってしまう人が出るようなら、何を決めるかに加えて、どう話すかも先に決めておく必要があります。
▷【関連記事:会議で意見がぶつかるとき、最初に決めたいグランドルール】
まとめ|決まったことが記憶と手帳にしか残らないなら、仕組みがまだない
会議が報告で終わるのは、参加者の意識の問題ではありません。アジェンダに「何を決めるか」が書かれていないという、設計の問題であることが多いと考えています。
見直す順番は、次のとおりです。
議題ごとに「この会議で決めること」を1行足す
↓
書けない議題は、集まる必要があるのかを見直す
↓
会議の前に何を聞かれるかが分かる形(フォーム・様式)を整える
決まったことが自分の記憶と手帳にしか残っていないなら、それは仕組みがまだない証拠です。
次の会議のアジェンダを開いて、議題の横に「決めること」が書かれているか、確かめてみてください。
会議の見直しは、準備・進行・発言・記録・実行の5つに分けて考えられます。全体像はこちらで整理しています。
▷【関連記事:月次会議が報告会で終わる会社が、最初に見直す5つのこと】
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