会議で意見がぶつかるとき、最初に決めたいグランドルール

夕暮れの会議室を写した写真。「『ここでは発言しない方がいい』そう思わせていないか。」「会議で最初に決める3つのルール」の文字

若い頃、参加していた会議で、管理職2人が激しく意見をぶつけ合う場面を何度も見ました。プライベートでは仲のいい2人です。ところが会議になると、意見が対立し、やり取りはかなり激しくなる。周囲は引いていました。

そして、いつの間にか他の参加者は、ほとんど発言しなくなっていました。意見がぶつかること自体は、悪いことではないと思います。立場が違えば、見えているものも違います。

むしろ、違う意見が出るからこそ、それまで見えていなかった問題に気づくこともあります。ただ、一部の人の議論が強くなりすぎると、その場にいる他の人が、「ここでは発言しない方がいい」と感じることがあります。

私が若い頃に見た会議は、まさにそんな状態でした。そして、その後自分が社長になってから、私は別の形で同じ問題を起こしかけました。今度は、私自身が、会議で一番よく話す人になっていたのです。

目次

会議で話さなかった私が、社長になるとよく話すようになった

社長になる前の私は、会議でそれほど積極的に発言する方ではありませんでした。ところが、社長になると変わりました。

「自分がしっかり説明しなければ」

「社長として方向を示さなければ」

そんな気負いもあったのだと思います。

会議でよく話すようになりました。

質問する。

説明する。

議論が止まれば、自分から話す。

必要だと思うことがあれば、さらに説明する。

気づけば、私が一番長く話している。

若い頃に見ていた、管理職同士が激しく意見をぶつける会議とは、見た目は違います。でも、結果として起きることには共通点がありました。一部の人が話しすぎると、周囲が話しにくくなる。ということです。

管理職どうしの対立と社長がよく話す会議を重ねたベン図。形は違っても、どちらも周囲が発言しなくなるという同じ結果になる

「もっと発言してください」だけでは変わらない

会議で参加者の発言が少ないと、つい、「もっと意見を出してほしい」と思います。私自身もそう思っていました。でも、発言する側から考えると、別の見方ができます。

自分が話している途中で遮られる。

意見を出したら、すぐに強く否定される。

役職の高い人が長く話し続ける。

何を言っても、最後は社長の答えになる。

そんな会議で、「もっと積極的に発言してください」と言われても、簡単ではありません。問題は、社員が消極的だからとは限りません。会議そのものが、発言しにくい構造になっていることがあります。

私は、社長になる前と後の両方を経験して、このことを強く感じるようになりました。

自分で自制するだけでは難しかった

自分が話しすぎていると気づけば、「次から気をつけよう」と考えることはできます。

私もそうしました。でも、実際に会議が始まると難しい。

気になることがある。

質問したくなる。

説明したくなる。

議論が止まれば、自分で前へ進めたくなる。

特に社長という立場になると、自分が知っている情報も多くなります。だからこそ、「自分が話した方が早い」という場面も増えます。私は、自分の意志だけで話す量を抑え続けるのは難しいと感じました。

そこで導入したのが、ファシリテーションでした。若手社員にもファシリテーションを学んでもらい、会議の進行を任せるようにしました。社長が、「今日は話しすぎないようにしよう」と我慢するのではない。

社長が話し続けなくても進む会議にする。その方が、私には現実的でした。

ファシリテーションだけでなく、会議のルールも必要だった

ファシリテーターを置くことで、誰か一人が話し続ける状態は調整しやすくなります。ただ、進行役を置くだけで、会議の雰囲気がすべて変わるわけではありません。参加者の間で、「この会議では、どう話すのか」という前提も必要です。

そこで役立つのが、グランドルールです。グランドルールというと、難しい仕組みに聞こえるかもしれません。でも、考え方はシンプルです。会議を始める前に、「この場では、こういう話し方を大切にしましょう」という約束を共有しておく。

私は、発言しやすい会議をつくるなら、少なくとも次のようなルールを置くことが大切だと思っています。

1.意見と人を分ける

一つ目は、意見への反対と、人への否定を分けることです。会議なので、反対意見が出ることはあります。

「私は違うと思います」と言うこと自体は、悪いことではありません。

むしろ、違う意見が必要な場面もあります。ただ、相手の意見に反対することと、相手そのものを否定することは違います。まず、なぜその人がそう考えたのかを聞く。そのうえで、自分はどこを違うと考えているのかを伝える。

人ではなく、意見について話す。この前提があるだけでも、違う考えを出しやすくなります。

2.人の話を最後まで聞く

二つ目は、相手が話し終わるまで聞くことです。これも当たり前のようですが、会議では意外と難しいものです。相手が話している途中で、「それは違う」と入ってしまう。あるいは、話の途中で結論を予測して、こちらが答えを出してしまう。

すると、話していた側は、最後まで自分の考えを説明できません。最後まで聞くことと、賛成することは別です。意見が違っていてもいい。ただ、まず何を言おうとしているのかを最後まで聞く。そのあとで、質問する。

そのあとで、自分の意見を伝える。この順番があるだけで、会議の空気は変わります。

3.一部の人だけで会議を進めない

三つ目は、いつも同じ人だけで議論を進めないことです。会議には、すぐに考えを言葉にできる人もいれば、少し考えてから話す人もいます。役職によっても、発言のしやすさは違います。

そこで、ファシリテーターが、まだ話していない人にも意見を聞く。必要であれば、少し考える時間を取る。一人の意見が出た瞬間に、すぐ結論へ進まない。もちろん、全員に同じ回数だけ発言してもらう必要はありません。

大切なのは、必要な意見が、発言力の強い人だけで消えてしまわないようにすることです。

会議の最初に決める3つのルール。意見と人を分ける、最後まで聞く、一部の人だけで進めない

グランドルールは、意見の衝突をなくすためではない

グランドルールを作る目的は、会議をおとなしくすることではありません。意見の対立をなくすことでもありません。むしろ私は、意見が違っても、安心して出せる状態をつくることだと思っています。

若い頃に見ていた2人も、プライベートでは仲のいい関係でした。それでも、会議の中では意見が激しくぶつかり、その結果、周囲が発言しなくなっていました。これは、単純に人間関係が悪かったから、とは言えません。

違う意見をどう扱うのか。一部の人の議論が強くなったときに、誰が場を整えるのか。その仕組みがなかったことも、大きかったのだと思います。意見の違いをなくすのではなく、意見の違いを扱える会議にする。

グランドルールは、そのための土台です。

社長自身も「場の一部」として考える

社長になると、自分では普通に話しているつもりでも、周囲への影響は大きくなります。社長が長く話せば、他の人が話す時間は減ります。社長が先に答えを言えば、そのあと別の意見は出にくくなります。

社長が強く否定すれば、次から似た意見は出にくくなります。私自身、よく話す社長になったことで、それを実感しました。

だから、「社員にもっと発言してほしい」と考えるときほど、社員だけを見るのではなく、自分も含めて、会議全体の構造を見る必要があると思っています。

誰が話しているか。

誰が話していないか。

人の意見を最後まで聞けているか。

違う意見を言える状態になっているか。

ファシリテーターが、必要な人から意見を引き出せているか。

こうしたことを、会議の仕組みとして考える。

私は、その方が再現性があると思っています。

発言しない社員を責める前に、会議を見直す

会議で意見が出ないと、「もっと主体的に参加してほしい」と言いたくなることがあります。でも、その前に一度、会議そのものを見直してみる。

一部の人が話し続けていないか。

強い意見が出ると、周囲が黙っていないか。

相手の話を途中で遮っていないか。

役職の高い人の発言が、そのまま結論になっていないか。

発言が出ないときに会議を見直す4つの確認。一部の人が話し続けていないか、強い意見が出ると周囲が黙っていないか、相手の話を途中で遮っていないか、役職の高い人の発言がそのまま結論になっていないか

もし当てはまるものがあれば、発言する人の意欲だけではなく、発言しやすい場をつくる側にも改善できることがあります。私自身、社長になる前はあまり話さない側でした。ところが、社長になると、今度は話しすぎる側になりました。

立場が変われば、同じ人でも行動は変わります。だから私は、人の性格だけで会議を考えないようにしています。

会議で決めたいのは「何を話すか」だけではない

会議を準備するとき、議題や資料には時間をかけます。

何を報告するか。

何を決めるか。

どんな数字を見るか。

もちろん、それらは重要です。でも、もう一つ決めておいた方がいいことがあります。

その会議で、どう話すのか。

人と意見を分ける。

最後まで聞く。

一部の人だけで進めない。

必要なら、ファシリテーターが場を整える。

こうした小さなルールがあることで、違う意見を出しやすくなります。私は、良い会議とは、全員が同じ意見になる会議ではないと思っています。意見が違っても、話し続けられる会議。

そのために、議題を決めるだけではなく、会議のグランドルールも最初に決めておく。会議で意見がぶつかり、そのたびに周囲が黙ってしまうのであれば、一度試してみてもいいと思います。


グランドルールは、会議を見直す5つの要素のうち「発言」にあたるものです。全体の見取り図は、こちらの記事で整理しています。

▷【関連記事:月次会議が報告会で終わる会社が、最初に見直す5つのこと】

社長が話しすぎる会議を変えたい方へ

今回の記事では、参加者が意見を出しやすくするための、グランドルールについて書きました。一方で、私自身が社長になってから経験したように、社長自身が話しすぎることで、会議の発言が偏ってしまうこともあります。

その場合は、「話しすぎないように気をつける」だけではなく、事前準備やファシリテーターの役割まで含めて、会議そのものを見直す必要があります。

▷【関連記事:社長が話しすぎる会議を変える。事前準備とファシリテーターで見直したこと】

また、Kindle『対話形式で学ぶ!月次会議ファシリテーションの基本 KPIを行動に変える』では、月次会議とファシリテーションについて、初めて学ぶ方にも順番に理解できるよう整理しています。

月次会議を、一部の人だけが話す場ではなく、参加者が考え、次の行動を決める場へ変えていきたい方は、参考にしてみてください。

\ Kindle+なら無料で読めます /

本書の読者向けに、月次会議のアジェンダや進行台本をその場で作れるWebアプリを用意しています。

▷【Kindle読者特典(実践Webアプリ)を見る】

夕暮れの会議室を写した写真。「『ここでは発言しない方がいい』そう思わせていないか。」「会議で最初に決める3つのルール」の文字

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次