社員教育を内製化した次に考えたこと|社員が教育を回す仕組み

薄暗い会議室の机に本が積まれた写真。「教材は、まだ私が作っている 作り方ごと、渡す。」「社員が教育を回す仕組みへ」の文字

社員教育を内製化すると、外部研修に頼らず、自社に合った内容を、自分たちで社員へ伝えられるようになります。私も最初は、それだけでかなり大きな前進だと思っていました。

実際、生成AIを使ってテキストを作り、それを社内研修へ使えるようになったことで、以前より自社に合った教育ができるようになりました。ただ、続けていくうちに、もう一つ考えるようになったことがあります。

社内で教材を作れるようになっても、毎回私が作っていたら、教育はまだ私に依存している。ということです。外部研修を社内研修へ変える。その次には、教育そのものを会社の中で回せる状態にするという段階があるのだと思います。

目次

最初は、私がテキストを作っていた

社員教育を内製化し始めた頃は、私が生成AIを使って、研修用のテキストを作っていました。そのテキストを社内の展開役へ渡し、展開役がスライドへ変換する。そして、そのスライドを使って社員へ研修を行う。そんな形から始まりました。

この時点でも、以前とはかなり違います。私が全員へ直接教えなくても、社内の人が研修を展開できるようになったからです。ただ、教育テーマを考え、テキストを作るところまでは、まだ私の役割でした。

つまり、「教える仕事」は移っていても、「教材を作る仕事」は私に残っていたということです。

スライドを作れるなら、テキストも作れるのではないか

役割をさらに渡そうと思ったきっかけは、展開役が、私の作ったテキストからスライドを作れていたことでした。

テキストを読んで、内容を理解する。

その中から必要な部分を選ぶ。

研修で伝わる順番に並べる。

スライドへ変換する。

そこまでできているのであれば、教材作成の前段階も任せられるのではないか。そう考えました。そこで、私がテキスト作成に使っていたプロンプトを渡しました。

すると、今度はテキストを作るところから、社内で進められるようになりました。私にとっては、ここが一つの転換点でした。

ノウハウだけでなく「作るための道具」も渡す

仕事を任せるとき、「今度から自分でやってください」だけでは、なかなか進みません。本人に能力がないからではありません。こちらが今まで頭の中でやっていたことが、相手からは見えないことがあるからです。教材づくりも同じでした。

私が生成AIへ、どのように条件を渡し、どんな形でテキストを作っているのか。その方法まで渡せば、ゼロから考える必要はありません。

私はここで、仕事を渡すなら、仕事そのものだけではなく、それを進めるための道具も渡した方がいいと感じました。

仕事だけ渡しても進まないことを示す図。仕事に加えて作り方(使っているプロンプト)も渡すと、相手が自分で進められる

プロンプトを渡したことも、その一つです。AIを使うこと自体が目的ではありません。今まで一人の頭の中にあった作り方を、他の人も使える形にする。そのための道具として、生成AIを使っています。

今では、教育テーマの選定から社員が行っている

現在は、さらに役割が変わっています。以前は、私が教育テーマを決め、教材を作り、社内へ展開していました。今は、展開役自身が、「今、どんな教育が必要か」を考え、テーマを選ぶところから進めています。

テーマを決める。

教材を作る。

研修資料を作る。

社員へ教える。

ここまで、自分たちで進めるようになりました。私が毎回、「次はこの研修をしてください」と決めているわけではありません。教育の必要性を考えるところから、少しずつ社内へ移っています。私は、この変化がとても大きいと思っています。

何でも社員へ任せているわけではない

ただし、今はすべての教育を社員へ任せている、ということではありません。展開役が教材を作るのは、主に、一度自分たちが教育したことがあるテーマや、外部研修などで自分自身が学んだことがあるテーマです。

自分の中に一定の理解がある。だから、教材を作り、他の社員へ伝えることができます。一方で、私自身が教材を作ることもあります。

私は普段から多くの本を読んでいるので、そこから得た知識や、これまでの経験を通じて、「今の社員には、この考え方を知ってもらった方がいい」と感じることがあります。

そうした、まだ社内に十分な知識がないテーマについては、私が教材を作ります。つまり、社長が全部作るか、社員へ全部任せるかという二択ではありません。それぞれが持っている知識や経験に応じて、教育を作る役割を分けています。

教材を誰が作るかの分岐図。一度自分たちが教育したテーマや自分が学んだテーマは社員が作り、まだ社内に知識がないテーマは社長が作る

内製化にも段階があると思う

振り返ると、私たちの社員教育は、少しずつ形が変わってきました。最初は、外部で学ぶ。次に、私が社内用の教材を作る。その教材を、社員がスライドへ変えて教える。さらに、教材を作るための方法も渡す。

そして現在は、社員自身が教育テーマを考え、教材を作り、社内へ展開する。こうして並べると、社員教育の内製化にも、いくつかの段階があることが分かります。

社員教育の内製化が進む5段階の階段図。外部研修で学ぶ、社内で使う教材を作る、社内の人が講師をする、教材の作り方も渡す、社員がテーマから決める

私自身、最初からここまで考えていたわけではありません。必要に応じて一つずつ変えてきた結果、少しずつ今の形になりました。

内製化の目的は「社長が教材を作れること」ではない

社員教育を内製化するとき、最初は、「自社で教材を作れるようになる」ことが大きな目標になります。それ自体は重要です。私もそこから始めました。

ただ、ずっと社長が教材を作り続けるのであれば、教育の中身は社内に移っても、教育を動かしている人は変わっていません。私が目指したいのは、そこからさらに一歩進んだ状態です。

社員自身が、必要な教育を考える。
自分たちで教材を作る。
自分たちで教える。

もちろん、最初から全部を任せる必要はないと思います。

まず私が作る。

次に、一部を渡す。

使っている方法も渡す。

できるようになったら、さらに役割を広げる。

そうやって、少しずつ会社の中に教育を残していく。この進め方でいいと思っています。

社員教育も「人」ではなく「仕組み」にしていく

社員教育は、

「誰が詳しいか」

「誰が教えられるか」

だけで考えると、特定の人へ依存しやすくなります。社長が詳しければ、社長がずっと教えることになる。教育担当者が詳しければ、その人がいないと研修できなくなる。私は、それでは社内教育が十分に残ったとは言えないと思っています。

大切なのは、教材の作り方や、教えるための方法まで会社の中に残していくことです。そうすれば、次の人へ役割を渡しやすくなります。

教育テーマを考える。

教材を作る。

社員へ伝える。

実際の仕事で使う。

そうした一連の流れが、誰か一人だけの仕事ではなくなっていく。

社員教育の内製化というと、「外部研修を社内研修へ変えること」と考えがちです。でも私は、その先にもう一段あると思っています。会社の中で、教育そのものが回り続ける状態をつくること。

そこまで進んで初めて、社員教育が会社の仕組みの一つになっていくのだと思います。


社員教育を「作って終わり」にしないために

これまで、社員教育について、研修で学んだことを実務へつなげること、教える側に回ることで学びを深めること、教材を読みやすい形へ改善すること、について書いてきました。

今回のテーマは、そのさらに先にある、「誰が教育を回すのか」という話です。教材を作る。研修をする。

それだけでなく、必要な教育そのものを社員が考えられるようになれば、教育は少しずつ、社長の仕事から会社の仕組みへ変わっていきます。

私は、社員教育についても、一度完成させて終わりではなく、少しずつ役割を渡しながら改善していけばいいと思っています。

▷【研修をしても仕事が変わらない理由|学びを実務につなぐ3つの確認】

▷【一番学んでほしい人を、あえて研修講師にする理由】

▷【社員教育の教材を対話形式に変えた理由|正しい内容だけでは伝わらない】


生成AIを使って社員教育を内製化したい方へ

私は、社員教育を外部へ任せるだけだったところから、生成AIを活用しながら、自社で教材を作り、社内へ展開する形へ変えてきました。

Kindle『外部研修いらずの社員教育 ChatGPTで部下が勝手に育つ組織づくり』では、生成AIを使って社員教育用の教材を作り、自社の教育として展開していくための基本的な考え方をまとめています。

今回の記事で紹介した、社員自身が教育テーマを選び、教材作成まで担う現在の形は、その後も社内教育を改善してきた中で進んだものです。まず、生成AIを使って自社で社員教育を作るところから始めたい方は、参考にしてみてください。

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