KPIが「成果指標」しかない会社が最初に整理すべき4つの言葉

数字の資料と万年筆の写真。『「目標は毎年立てている」行動は、数字になっていない。』の見出しと、右上に「まず読む」の帯

売上や利益の目標は、毎年立てている。

でも、それを達成するために社員が日々何をすればいいのかは、数字になっていない。

その状態のまま数字を追い続けると、会議は結果の確認だけで終わり、目標は毎年「立てて終わり」になります。

KGI・CSF・成果KPI・プロセスKPIという4つの言葉を分けて整理すると、目標と日々の行動がつながり始めます。この記事では、4つの言葉がそれぞれ何を測るものなのかと、導入でつまずきやすい5つの落とし穴を整理します。

目次

結果の数字しかないと、社員は「今日何をすべきか」が分からない

「目標を立てても社員が動けない」と感じるとき、原因は意識の低さではないことがあります。

KGIや成果KPIといった結果の数字だけがあり、行動を測るプロセスKPIがないと、社員は目標を自分の1日の動きに翻訳できません。

さらに、成果は本人の努力だけで決まるとは限らず、努力から結果が出るまでに時間差が生まれることもあります。頑張ったかどうかが誰の目にも見えない状態が続けば、「成果につながらないなら動かない方がいい」と考える社員が出てきても不思議ではありません。

だからこそ、まずプロセスKPIという形で行動を可視化することが必要になります。行動が見えるようになったうえで、それでも成果につながらなければ、指標そのものを見直していきます。

もちろん、最初から成果につながる行動を指標にできるよう考える必要はあります。ただ、完璧な設計を待つよりも、行動を見える形にすることが先です。

KGI・CSF・成果KPI・プロセスKPIは、それぞれ何を測る言葉か

4つの言葉は、それぞれ違う役割を持っています。1つずつ、順番に見ていきます。

KGI(重要目標達成指標):会社が最終的に目指すゴール

KGIは「Key Goal Indicator」の略で、会社や部門が最終的に達成したい数値目標です。

「年間売上1億円を達成する」「経常利益1千万円を達成する」といった、誰が見ても目指す方向が分かる最終ゴールを指します。

KGIはあくまで結果であり、それだけを掲げても、どうやって達成するかは見えてきません。だからこそ、次のCSFが必要になります。

CSF(重要成功要因):ゴールを達成するための鍵

CSFは「Critical Success Factor」の略で、KGIを達成するために欠かせない、鍵となる要素です。

KGIが「年間売上1億円」だとすると、それを達成する鍵は「新規顧客の開拓」かもしれませんし、「既存顧客への提案強化」かもしれません。

CSFは、過去に成果が出たときの要因や、今のボトルネック(目標達成を妨げている原因)を見て決めます。何を強化すれば結果につながるのかを絞り込む作業です。

成果KPI:CSFを数値化した、結果を測る指標

成果KPIは、CSFを具体的な数値に落とし込んだものです。KGIに直接影響する、結果に近い指標になります。

CSFが「新規顧客の開拓」であれば、成果KPIは「新規顧客訪問件数50件/月」や「新規成約率30%」といった形になります。

プロセスKPI:成果KPIにつながる、自分で動かせる行動の指標

プロセスKPIは、成果KPIを達成するために必要な、日々の行動を数値化した指標です。

「新規顧客訪問件数50件/月」という成果KPIを達成するには、その手前に「新規顧客へのコンタクト件数100件/月」のような行動が必要になります。これがプロセスKPIです。

ここで大切なのは、プロセスKPIが自分(または自社)で実際にコントロールできる行動になっているかどうかです。

相手や外部要因に左右される数字をプロセスKPIにしてしまうと、未達が続いても「相手次第なので仕方ない」で説明が終わってしまいます。それでは、行動を変える材料になりません。

4つをつなぐと、ゴールから日々の行動まで一本になる

KGI(年間売上1億円)

→ CSF(新規顧客の開拓)

→ 成果KPI(新規顧客訪問件数50件/月)

→ プロセスKPI(新規顧客へのコンタクト件数100件/月)

会社の目標が4段階で日々の行動に変わる流れ。KGI年間売上1億円、CSF新規顧客の開拓、成果KPI新規顧客訪問件数50件月、プロセスKPIコンタクト件数100件月

ゴールを決め、鍵となる要因を絞り、結果の数字を決め、そこに至る行動の数字まで分解する。この順番でつなぐことで、会社の目標が社員の1日の行動まで届きます。

KPI導入でつまずきやすい5つの落とし穴

4つの言葉を整理しないままKPIを導入しようとすると、決まった場所でつまずきます。

KPI導入でつまずきやすい5つの落とし穴。形だけの導入、成果KPI止まり、感覚で数字を決める、KPIが多すぎる、振り返る頻度が決まっていないの5項目

落とし穴1:意味を理解しないまま「形だけ」導入してしまう

KGIやKPIという言葉の意味を確かめないまま、言葉だけを社内に持ち込んでしまうケースです。

言葉だけを導入しても、社内の誰も「なぜこの数字を追うのか」を説明できません。数字を置くこと自体が目的になり、運用が始まる前に形骸化します。

まずは、KGI・CSF・成果KPI・プロセスKPIという4つの言葉が、社内で上記の定義どおりに使われているかを確認するところが出発点になります。

落とし穴2:成果KPIだけで終わり、プロセスKPIまで分解されない

結果の数字(成果KPI)だけを追い、そこに至る行動の数字(プロセスKPI)まで分解しないケースです。

「新規顧客訪問件数50件」という結果だけを見ていると、未達だったときに何を変えればいいのかが見えません。プロセスKPI(コンタクト件数など)まで分解して初めて、「電話・メールでのコンタクトは十分だったか」「コンタクトの質を高める施策が必要ではないか」といった議論ができるようになります。

結果だけを見ている限り、会議は報告で終わります。

落とし穴3:根拠のない数字を、社長だけで決めてしまう

社長や経営陣が、感覚や気合いでKGIや成果KPIの数字を決めてしまうケースです。

根拠のないまま「売上高2倍」といった目標を掲げても、社員は最初から諦めてしまいます。市場の成長率が過去に100%近い伸びを示しているなど、明確な根拠がある場合は別です。ただ、その根拠を示さないまま数字だけを下ろせば、目標は社員にとって自分ごとになりません。

目標設定には、SMARTの法則という考え方があります。具体的か、測定できるか、達成可能か、KGIに関連しているか、期限が明確か。この5つの観点で点検すると、実態から離れた数字になっていないかを確認できます。

落とし穴4:KPIの数が多すぎて、何を優先すべきか分からなくなる

あれもこれも数字にしてしまい、優先順位が見えなくなるケースです。

KPIの数が増えるほど、どの数字を見ればいいのか分からなくなり、結局どれも追われなくなります。最初は、成果KPI・プロセスKPIともに絞り込んだ数個から始める方が現実的です。

落とし穴5:振り返る頻度が決まっておらず、気づくのが遅れる

KPIを設定しても、いつ・どの頻度で振り返るかを決めていないケースです。

振り返るタイミングが曖昧だと、問題に気づいたときには次の予算期になっている、ということが起きます。週次や月次で数字を確認する場を、あらかじめ会議のサイクルに組み込んでおく必要があります。

プロセスKPIを入れたら、会議の質問が変わった

私の会社では、KPIマネジメントを導入する前は、営業部門は売上量と新規顧客の売上量だけを月次で管理していました。

これらはどちらも結果の数字です。それを達成するための行動には、定量的な目標がありませんでした。

そのため、売上が未達のときも、会議では結果の数字だけに目が向いていました。顧客との接点をどう作るか。会ったときに、次のステップへ進む確率をどう上げるか。そうした日々の営業活動についての議論が、ほとんどなされていませんでした。

そこで、プロセスKPIを導入しました。

日々やるべきことが数字として明確になり、行動量が増えました。行動が増えたことで、次は「行動の質をどう変えるべきか」が見えるようになり、実際に改善へも取り組めるようになりました。

会議でも、結果だけでなく行動が見えるようになったことで、営業に対する質問の質が上がり、会議の雰囲気が変わりました。

まず、自社のKGIを1つ言葉にするところから

最初にやることは、自社のKGIを1つ、言葉にしてみることです。「今期、何を達成したいか」を数値で表すところから始まります。

KGIが言葉になったら、それを達成するためのCSF、CSFを測る成果KPI、成果KPIにつながるプロセスKPIへと、順番に分解していきます。

このカテゴリでは、その先で出てくる課題を、次のテーマで扱っています。

動けないKPI、効かないKPI|プロセスKPIが満たすべき2つの条件

4つの言葉を整理できていても、プロセスKPIが「自分で動かせる行動」「成果につながる行動」になっていなければ、KPIは機能しません。この2つの条件と、それぞれの見直し方を扱っています。

▷ 【動けないKPI、効かないKPI|プロセスKPIが満たすべき2つの条件】

予算に入れたのに、会議で使われないとき

予算にプロセスKPIを書いても、月次会議で報告されなければ、実行できているかも、設計が正しかったかも分かりません。会議で確認したい3点を扱っています。

▷ 【予算に入れたプロセスKPIが機能しないとき、月次会議で確認したいこと】

KPIを教えても、実務で設定できないとき

テキストを渡して説明しても、実際の予算ではプロセスKPIを設定できないことがあります。教育の進め方をどう組み直したかを扱っています。

▷ 【プロセスKPIが定着しなかった会社で、教育方法を見直した話】

会議で決めたことが実行されないとき、会議と1on1をどう分けるか

KPIを会議で扱えるようになっても、決めたことが実行されないことがあります。会議で決めることと、1on1でほぐすことの分け方を扱っています。

▷ 【会議で決めたことが実行されないとき、会議と1on1をどう分けるか】

間接部門にKPIがない会社が、最初に見直すのはKGIの置き方

経理や総務でKPIが置けないのは、担当者の力量の問題ではありません。KGIが利益だけだと、その部門の貢献が「削る」にしか翻訳されないからです。見直す順番を扱っています。

▷ 【間接部門にKPIがない会社が、最初に見直すのはKGIの置き方】

結果の数字だけの管理から抜け出すために

KGI・CSF・成果KPI・プロセスKPIという4つの言葉の役割を分けること。それが、KPIが動き出すための最初の一歩です。

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数字の資料と万年筆の写真。『「目標は毎年立てている」行動は、数字になっていない。』の見出しと、右上に「まず読む」の帯

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